羅針盤が扱う思想・宗教・哲学・倫理観の一覧です。診断を経ずに直接見て回ることもできます。
- アナキズム
国家をはじめとするあらゆる強制的な権力・階層構造を不当な支配とみなし、その廃絶と、自発的な相互扶助・協力に基づく社会の実現を目指す思想。
- アリストテレス主義
行為の善悪を、個々の行為の規則適合性や結果ではなく、行為者の卓越した性格特性(徳)と、状況に応じて適切に判断する実践的知恵(フロネーシス)によって捉える倫理学説。人間に固有の理性的機能を十全に発揮する状態としての幸福(エウダイモニア)を目指し、超過と不足を避けた中庸を徳の指標とした。義務論(カント主義)・帰結主義(功利主義)と並ぶ規範倫理学の三つの立場の一つ。
- イスラーム教
唯一神アッラーへの帰依を中心に据える一神教。ユダヤ教・キリスト教と同じアブラハムの宗教の系譜に連なりつつ、最後の預言者ムハンマドを通じてクルアーンが下されたとする。信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼という五行の実践と、啓示された法(シャリーア)に基づく生活を通じて、来世における審判を見据えた生を説く。
- エピクロス主義
苦痛を取り除いた平静な心の状態(アタラクシア)こそ真の快楽であるとし、それを人生の目的とする古代ギリシアの哲学。政治参加からの離脱と質素な生活を説いた。
- カント主義
行為の道徳性を結果ではなく、それが普遍的な法則となりうるかという理性的な原則(定言命法)によって判断する義務論的倫理学。結果を重視する功利主義と対比される。
- キリスト教
神の存在とその意志への信仰を中心に据える一神教。原罪・救済・死後の世界といった教義を通じて、人間の生と苦しみに意味を与える枠組みを提供する。
- ストア派
宇宙は理性的な秩序(ロゴス)に従っており、人間はその秩序を理性によって受け入れ、感情を統御して徳に従って生きるべきだと説く古代ギリシア・ローマの哲学。
- ニヒリズム
客観的な意味・価値・道徳的真理は存在しない、あるいは伝統的にそれらの根拠とされてきたもの(神・理性・歴史の目的など)はもはや信じるに値しないとする立場。ニーチェは「神は死んだ」という言葉で、西洋文明を支えてきた価値の根拠が失われた近代の状況を診断し、その先に新たな価値創造の可能性を模索した。
- ヒンドゥー教
単一の教祖や経典を持たず、多様な神々への信仰・実践を包括する南アジア起源の宗教的伝統の総称。輪廻転生(サンサーラ)とそこからの解脱(モークシャ)、行為の帰結としての業(カルマ)、個々の自我(アートマン)と宇宙の根本原理(ブラフマン)との関係を主要な主題とし、正しい行い(ダルマ)の実践を通じた解脱を説く。
- プラグマティズム
ある信念・観念の真理性や意味を、それが実際の行動・経験にもたらす結果によって判定しようとする、19世紀末にアメリカで生まれた哲学的立場。抽象的な形而上学的論争よりも、観念が現実の問題解決にどう役立つかを重視する。
- マルクス主義
歴史は生産手段をめぐる階級闘争によって動くとする唯物史観に立ち、資本主義における労働者階級(プロレタリアート)の搾取を批判し、私有財産の廃止と生産手段の共有化による無階級社会の実現を目指す思想。
- 仏教
生・老・病・死をはじめとする一切は苦(ドゥッカ)であり、その原因は執着・渇愛にあるとし、八正道の実践によって執着を手放し、苦から解放された涅槃の境地に至ることを説く。ゴータマ・ブッダ(釈迦)の教えに始まる。
- 保守主義
理性による一挙的な社会設計を疑い、歴史のなかで培われた伝統・慣習・制度を尊重しながら漸進的に社会を改良していくことを説く政治思想。フランス革命への批判から体系化された。
- 儒家思想
仁(他者への思いやり)と礼(社会的な規範)を重んじ、家族や社会における秩序と道徳的な人格の陶冶を説く中国思想の一派。
- 功利主義
行為の善悪を、それがもたらす快楽・苦痛の総量(結果)によって判断する倫理理論。「最大多数の最大幸福」を目指す帰結主義の代表的な立場。
- 実存主義
あらかじめ定められた本質や体系よりも、「今ここに存在する個々の人間」の主体的な選択を出発点に据える思想潮流。人生の意味は与えられるものではなく、自らの選択によって作られるとする。
- 法家思想
人間の本性は利己的であるとし、道徳的教化ではなく、明文化された法(法)・信賞必罰の仕組み(術)・君主の絶対的権威(勢)によって国家を統治すべきだとする中国古代の政治思想。儒家思想の徳治主義と対比される。
- 現象学
意識に現れる事象そのものを、理論的な先入観を排して厳密に記述することを目指す哲学的方法。フッサールが「事象そのものへ」をスローガンに創始し、ハイデガーは人間の存在(現存在)が世界の内に投げ込まれた形で存在するあり方(世界内存在)の分析へと展開した。実存主義の哲学的源流の一つ。
- 自由主義
個人の生命・自由・財産への自然権を至高の価値とし、国家権力を制限しながら法の支配のもとで個人の自由な活動(市場経済を含む)を保障することを説く近代政治思想。ジョン・ロックらの社会契約論に起源を持つ。
- 道家思想
人為的な規範や作為(人為)を離れ、あるがままの自然の道(タオ)に従って生きることを説く中国思想の一派。儒家思想の礼による秩序づけとしばしば対比される。